レポートvol.2 KOGEIフェスタ!2022
見て、触れて、工芸を直に楽しむ3日間

レポート

2022.11.21

工芸の魅力を身近に感じてもらうことを目的に、2016年から毎年開催されている「KOGEIフェスタ」。今年は10月8日(土)から10日(月祝)までの3日間、しいのき迎賓館・しいのき緑地にて開催されました。ワークショップやマルシェなど、そこには工芸の魅力に直接見て・触れて体感している老若男女の姿が。その様子を一部レポートします。

しいのき緑地には金沢工業大学学生らによるインスタレーション作品も。

子どもから大人まで夢中で楽しめる「KOGEI体験」

まずは、しいのき迎賓館内で開催されている「KOGEI体験」から。九谷焼や金沢箔、桐工芸に加賀友禅、金沢仏壇などなど、計15種類のワークショップが3日間で開催されました。
作り手から直接指導を受けながら工芸制作を体験できる貴重な機会とあって、毎年事前予約で満席になるものも多い目玉企画です。

「金沢仏壇を組み立ててみよう」の様子。職人が仕上げた部材は釘を使わずに組み立てられる。
木肌を生かすために金箔を貼らない欄間彫刻も金沢仏壇の特徴の一つ。
普段なかなか見ることのできない金沢仏壇のプレゼンテーションには、特に大人が興味津々。

小さなお子さんでも体験できるものから、大人も熱中できる本格的な体験まで揃っていて、それぞれの興味やレベルに応じて、自由に楽しめるよう工夫がなされています。親子でワークショップに参加して、肩を並べて各々熱中されている姿も印象的でした。

「加賀蒔絵でお盆を作ろう」のワークショップ。
下地絵が描かれた漆のお盆に彩色し、金粉などを撒きます。
「桐の人形やコマに絵付けをしよう」。軽くて扱いやすい桐工芸の魅力を感じられます。
こちらは桐の木で作られた人形にペンで絵付けをしている様子。
こちらは金沢九谷の「ろくろを回してごはん茶碗作り!」
思い思いの「マイごはん茶碗」が完成しています。

「ちょっと難しいかな?」と親が思うようなものでも、意外と集中力を切らさずに作りあげてしまう子どもたち。ものづくりが息づく金沢で育つメリットを、目一杯享受して欲しいものです。

加賀友禅の「型染め」の技術を簡易化したトートバック作り。
ぼかしの表現などもあって、友禅職人になりきった気分の子どもたち。

作り手と使い手がつながる「KOGEIマルシェ」

そして、しいのき緑地にずらりと佇むテントに並ぶのは、県内のつくり手が作った工芸品。漆器、陶磁器、金工、木工、ガラス、染色…などなど。あらゆる工芸ジャンルの品がそこでは販売されています。

これだけの種類の工芸品が一堂に会する機会はなかなかないので、毎年このマルシェを楽しみにする方も少なくありません。美大生はじめ若い感性の作り手から、熟練した職人までその属性も様々で、来場者にとってはお気に入りの作家を見つけるチャンスでもあります。

作品を手に取り、その質感や使い心地などを確かめながら楽しげに品定めをする人々。普段はなかなか会えないつくり手から直接話を聞ける貴重な機会とあって、「もの」を介しての会話も弾んでいました。

金ピカのシェアサイクル「はくのり」もお披露目

金沢市公共シェアサイクル「まちのり」に、金箔貼りの特別車「はくのり」が誕生。初日の8日(土)にはそのお披露目会が行われ、会期中3日間は試乗体験もできました。

カゴから後輪カバーまで金箔で覆われている「はくのり」
試乗する来場者の様子。金色の自転車がまちなかでも目を引いていました。

工芸で“食の時間”を彩る愉しみ

またしいのき迎賓館にて「KOGEIフェスタ」と同時開催されていたのは「“工芸”で彩る食の空間コーディネート展」。ここでは公募から選ばれた入選者の作品が再現されていて、工芸品を普段の暮らしに取り入れる魅力を、「食」というアプローチから提案していました。

初秋のひんやりとした空気の中、工芸の魅力に直に触れることができた3日間。次回は気になっていたワークショップに筆者自身参加できるよう、早めにチェックしたいと思います。来年の開催もどうぞお楽しみに。

記事一覧へ

ほかの記事

OTHER ARTICLES

pagetop